Asian Healing Therapist Society社団法人アジアンヒーリングセラピスト協会(社)AHTSは主にアジア各地での伝統療法に関する正しい知識の普及・各種資格制度などの事業活動を行う目的で2007年4月発起。自然と共生しながら、ホリスティックな心身の健康づくり、心豊かで健康的な環境づくりを積極的に推進しています。

Frontline!

インドの音楽療法に
使用されている「シタール」

セルフケアや施術に最適な音色は、深い癒しをもたらす

インドの音楽療法として使用されている楽器「シタール」。この名前を聞いてもピンとこないかもしれませんが、その音色を聴けばすぐにわかるでしょう。シタールは約20本の弦で美しい旋律を奏でます。上部に約7本、下部に約12本~16本の弦が張られ、演奏で使用するのは上部の弦だけ。下部の弦は共鳴弦の役割を果たします。この共鳴弦が、インド音楽独特の不思議で心地良い音響を作り出すのです。

このシタールの音は多様に変化し、倍音を多く含んでいます。倍音とはある一つの音を発すると、その音だけが響くのではなく、その音に対して規則性を持った違う音階の音色が木霊のように存在する音のこと。倍音には癒しやヒーリングの効果が多分に含まれています。有名な音楽では、モーツァルトの曲が挙げられます。また、ビートルズのジョージ・ハリスンはシタールに魅了され、シタールの有名な奏者・ラヴィシャンカールを師として、インドで修行をしました。倍音を多く含むシタールは、聴くだけで癒されます。セラピストが施術の際にシタールの音楽を流すと、シタールの音色が施術を助けてくれ、クライアントにより深い癒しをもたらしてくれるそう。さらにセラピスト自身も癒されながらトリートメントができるので、終始お互いが心地良い状態でいられるといいます。

脳生理学的にも、心地良いと感じる音楽を聴いているときの脳波は、瞑想や深い集中時にみられるα波の状態であることが計測されています。シタールに含まれる倍音もα波と同じ状態に導きます。音楽を聴いてリラックスすると、理性の大脳新皮質が休まり、自律神経のバランスが取り戻され、癒しの効果をもたらします。

理論的に考えなくても、素晴らしい音の響きや音色は、波動として全身を包み込んでくれるもの。特に意識をしなくても違う次元に導いてくれ、さらに、同じ場所にいても音楽の種類によって異なる雰囲気を醸し出してくれるのです。このように音楽には人を自然に戻す力、魂を癒すエネルギーがあると言っても過言ではないでしょう。

シタールの魅力は、インド伝承医学のアーユルヴェーダの思想からも読み取ることができます。アーユルヴェーダの思想の一つに「瞑想」があります。この瞑想を「α波が出ているような安定した状態」だとし、アーユルヴェーダの古い経典には「ヨーガや音楽、マントラ、呼吸法はすべて瞑想状態に入りやすくするためのもの」と明記されているのです。

シタールの習得は独学では難しいもの。必ず師について、その人間性も含め修行をしなければなりません。しかし、シタールの音楽を聴くだけで癒しがもたらされるので、セルフケアや施術中の音楽としても活用できます。ぜひ一度、シタールの音色を聴いてみませんか。

シタール奏者のプレーマダーサ・ヘーゴダ氏は、インド音楽を通してアジアの子供たちのために幼稚園を設立するなど、教育活動や自然保護活動に尽力している

シタールの音楽を聴くことのできるセミナー「アーユルヴェーダとインド音楽療法」が、6月10日(日)にアジアンヒーリングセラピスト協会主催で開催される

上:シタール奏者のプレーマダーサ・ヘーゴダ氏は、インド音楽を通してアジアの子供たちのために幼稚園を設立するなど、教育活動や自然保護活動に尽力している

中:シタールの音楽を聴くことのできるセミナー「アーユルヴェーダとインド音楽療法」が、6月10日(日)にアジアンヒーリングセラピスト協会主催で開催される

下:セラピスト養成学院バシャールの学院長・白羽登美さんは、インドでプレーマダーサ氏にシタールを習った

セラピスト養成学院バシャールの学院長・白羽登美さんは、インドでプレーマダーサ氏にシタールを習った

文◎白羽登美
取材協力◎セラピスト養成学院バシャール
TEL03-3545-8818
http://www.aqua-peace.net/
◎アジアンヒーリングセラピスト協会
TEL03-5148-0630
http://www.asian-healing.com/
Asian Healing